渡辺みちたか(自民党・新宿区議会議員)official blog

新宿区議会議員(自由民主党)。昭和60年12月生まれ(35歳)。「渡辺ミッチー」こと渡辺美智雄・元副総理の孫。慶応義塾高等学校・慶応義塾大学・同大学院卒業。中小企業勤務、国会議員秘書を経て新宿区議会議員(1期)。#渡辺みちたか #新宿区議会

千正康裕『ブラック霞が関』 国会の日程闘争はマイノリティの意見のくみ上げる機能

千正康裕『ブラック霞が関』読了。

普段読みっぱなしにすることが多いが、たまにはメモ代わりにブログに書いておきたい。

本書は元厚労官僚の著者が霞が関の労働状況と、それに対する処方箋を描いた本だ。人員は削減される一方で事務量は増え、キャリア官僚(霞が関)の超絶ブラックな勤務状況が明らかになっている。特に国会対応が官僚たちの負担になっていることが描かれている。

私も国会議員秘書から地方議員になったが、区議になりたての頃、国会議員ほどに役所の対応は手厚くないなと思ったことがある。この差は、自治体の場合(二元代表制で)選挙で選ばれた首長が役所のトップにいるのに対して、政府の場合は議院内閣制で、役所のトップに国会議員がなる可能性がある(自分の上司になるかもしれない人たちに対しての対応は当然手厚くなる)のがひとつ。そして国会の場合、政策決定プロセスに自民党の部会が組み込まれているのがもう一つの大きな原因なんだと思う*1自民党の了承が得られないと法案は国会を通らない。当然自民党議員への対応は手厚くなる。

さて、霞が関が国会対応でブラック労働になる大きな原因は、本書にも書かれている通り、国会が日程闘争だからだ。法案が会期中に通れば政府・与党の勝ち、会期中に通らず廃案になれば野党の勝ち、会期延長になれば痛み分け、という事が国会で行われている。国会というのはあらかじめ会議の日程が決まっていない。いつ会議が行われるのかわからないのだ。議員秘書時代に質問の素案作りなども行っていたが、木曜日の昼過ぎに「え、来週の月曜にこの法案審議することになったんですが?」というように突然法案審議が始まることもあった。翌週の月曜の審議の場合、質問通告は木曜の昼に行うのが与野党の取り決めだ。日程が決まった時点で期限を過ぎてる。こういう場合、国会議員事務所は徹夜して質問づくりをする*2。待機する役人もつらいだろうが、質問づくりする議員側も結構しんどい事情がある。

では、あらかじめ日程を決めて国会をすればいいだろうと思うかもしれないが、なかなかこれも難しい。なぜなら、日程闘争とはマイノリティの意見をくみ取る機能そのものだからだ。

そもそも民主主義とは「多数の支配」と定義されるように、物事を多数決で決める政治体制だ。極端な話、過半数を押さえる多数党の意見は100%反映されて、少数党の意見はまったく反映されない。粛々と多数決をしていくとこういう状況になる。

多数決では100%勝てない少数党は、不本意な政策については決を取らさせずに廃案にするしかない。そこで少数党が行うのが、フィリバスター牛歩戦術、不信任案、問責決議の連発などの遅延行為だ。遅延行為を行うことで(審議未了で)廃案になればそれでよし、そうでなくともメディアに報道されれば政策自体が国民に広く議論されるし、存在感もアピールできて次の選挙にもつながる。与党はそれを恐れて政策に修正を入れることもある。つまり国会の日程闘争は少数党の意見を反映させる機能になっている。

もしあらかじめ年間の議会スケジュールを決めて、審議、採決、となった場合は粛々と採決されて少数党の意見はすこしも反映されない。国会の会期末になるとしょうがねえなあと思うようなドタバタ劇が毎度行われて、政治不信の一因になっていると思うが、こんな背景もあったんだと少しでも感じて頂きたいと思う。

*1:ほかにも質問主意書のように法律で期限が定められているようなものもある。本書でも指摘されている。

*2:あらかじめ作っとけよとも思うが