渡辺みちたか(自民党・新宿区議会議員)official blog

新宿のミッチー。新宿区議会議員(自民党)。1985年12月生まれ。「渡辺ミッチー」こと渡辺美智雄・元副総理の孫。慶応義塾高等学校・慶応義塾大学・同大学院卒業。中小企業勤務、国会議員秘書を経て新宿区議会議員(2期)。会派は自民党区議団。

特別委員会の視察(岐阜県美濃市、多治見市)

 所属する特別委員会(文化観光)の視察で岐阜県美濃市と多治見市を訪れた。コロナが急拡大する中で受け入れていただいた両市には感謝しかない。

 美濃市では「うだつの上がる街並み」と美濃和紙関連政策、多治見市では美濃焼タイルの補助事業と「やくならマグカップも」関連観光政策についてお話を伺った。美濃和紙、美濃焼美濃焼タイル)は地域の伝統文化であり、伝統産業でもある。この維持・継承を行うとともに、地域の観光の目玉として活用するところは新宿区でも参考になるのではないかと思ってお話を聞いていた。なお、新宿区では、地場産業として落合戸塚地域を中心に染色産業が、牛込地域を中心に製本・印刷産業がいまなお行われている。後継者不足への取組みや、新商品の開発など参考になる部分があった。
 文化政策、観光政策の一般論として、最終的な責任は文化の担い手や産業サイドの個々の企業にあり、それぞれが頑張って発展させるというのが大前提で、行政はそのサポートしかできない。ではどう行政がサポートするかという部分に各自治体の個性がでるものだ。その中で美濃市、多治見市がもっている美濃和紙、美濃焼は超有名ブランドで、市民も地元が誇る伝統文化産業だという理解がある。ゆえに行政が(税金をかけて)手厚くサポートする理解を得やすいのに対して、新宿の地場産業は細々とやっており、知る人ぞ知る、という状況なので個別産業に直接補助というのは難しい部分がありそうだ。直接的な伝統文化・産業政策のほかに、伝統産業の周知や理解促進、初等・中等教育に盛り込んでいく必要があるだろう。

 

美濃市の「うだつの上がる街並み」
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↓真ん中にある、小さな屋根の乗っている壁が「うだつ」
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以下メモ

美濃市(うだつの上がる街並みと美濃和紙)
・美濃和紙は1300年の歴史があり、ユネスコ無形文化遺産。2020東京五輪では賞状の紙として使用された。雰囲気のある中心街は戦国武将の金森長近が移封されてきて街づくりが行われたのが原型で、防火の工夫が随所にある。そのひとつが家と家の防火隔壁の機能をもつ「うだつ」。江戸時代、紙問屋が繁盛し、江戸末期ごろから「うだつ」が富の象徴として、各家で趣向を凝らし競い合うようになる。それが今も残っていてうだつの上がる街並みになっている
・美濃和紙とうだつの上がる街並みは一見まったく分野が違うものに見えて、ともに美濃和紙を中心にした歴史あるコンテンツで、美濃市民にとってもなじみのあるもの。
・美濃和紙は後継者を育てるべくスクールがあり、紙すき職人になりたいという方や、和紙産業の方などがはいる。まれに外国人も。紙漉きは募集すれば職人希望者が来る状況で、美濃和紙も需要があるが、紙漉きのための道具や、原料のコウゾなどの作り手・後継者不足が深刻。
・新商品の開発にも市が協力している。が、あくまでサポート。H27からはブランド価値向上委員会(県との連携事業)コンサルにも入ってもらってやっている。
・観光は愛知県からくる方が多い。紙漉き体験は3000人から1万7000人(コロナ前)と5倍くらいになっている。観光資源が限られているため近隣の郡上市、関市と連携してエリアで来街者増の工夫をしている。
・伊勢型紙もつくっている(染物につかう)。新宿のモア4番街で美濃和紙のあかりアートイベントをしたことがある。

 

多治見市美濃焼タイル、やくならマグカップも)
・「やくならマグカップも」は4人の女子高生が陶芸、美濃焼づくりをする話。2012年に多治見市を元気にしよう、と市が呼び掛けたプロジェクトから始まり、昨年テレビアニメ化(2期)された。
聖地巡礼など、これまで多治見を訪れなかった層の観光に期待しているが、コロナの影響でそこまで多くはみられない。
痛車(ラッピングカー)の公用車がある。痛車タクシーもある(2台)。
美濃焼は陶磁器の5割、タイルは7割のシェア。すご。特徴のないのが特徴といわれる。
・市民は「陶磁器はもらうもの、タイルは拾うもの」という認識があり、これまで地場で消費はそれほどなかった。が、「美濃焼GO」をしてみたら以外に地元民が購入し、隠れた需要をみつけだしたところ。
美濃焼タイルは旧笠原町(2006年合併)の産業なので、多治見市としてはあとから入ってきた伝統産業。これも地産地消、生産地として街でつかってもらいたいという思いがある。美濃焼には行政との連携がもともと濃いが、タイルは直接補助が2018年から始まった。
・焼き物の作家や後進を育てるべく陶磁器意匠研究所がある。さらに卒業生が美濃焼に携わってもらえるよう定住促進策もある。
美濃焼を海外でも売り出したいと思いがある。が、中国では商標が取られている。