渡辺みちたか(自民党・新宿区議会議員)official blog

新宿のミッチー。新宿区議会議員(自民党)。1985年12月生まれ。「渡辺ミッチー」こと渡辺美智雄・元副総理の孫。慶応義塾高等学校・慶応義塾大学・同大学院卒業。ベンチャー企業勤務、国会議員秘書を経て新宿区議会議員(2期)。区議会会派は自民・参政クラブ。

民泊規制強化・いま新宿で起こっていること

 新宿区が民泊の規制強化を発表した。

・区内の住宅地の新設禁止し、2年間後には既存の施設も禁止
・商業地域は営業上限120日
・対面チェックインの義務化

 など、来年6月までに条例改正・施行を目指し、改正されれば全国で最も厳しい規制となる。*1

 以下、新宿で起こっていることと、規制強化に至った理由を書いていきたい。

◆住居を借りて民泊に?

 新宿区は4000件近くもの民泊があり(全国の民泊の約1割にあたる)、ごみ出しや深夜に騒ぐ、客が民泊と間違えて民家に入ろうとする(誤訪問)などのクレームが区に年間1300件ほどよせられている。

 観光やビジネスでの利便性のいい新宿区では、家やマンションを普通に賃貸に出し、賃料をとるよりも民泊にした方が2倍から3倍の売上があるそうで、民泊業者はマンションの部屋や一軒家を賃貸して民泊にしている。こうした賃貸物件での民泊経営が区内の民泊の76%に上っている。民泊事業者は「賃貸物件でビジネスをするのは普通のことでしょ」と言うが、住居を借りて、住むわけでもなく、転貸するのでもなく、観光客を泊める施設にするのは違和感がある。

 マンションなどで民泊の運営がOKな賃貸物件は繁華街近くになくなり、住宅地のマンションの一室や一軒家の民泊化が増えており、旅客のマナーや管理の悪さが住民トラブルに繋がっている。

◆民泊大手の態度(追記あり)

 日々、クレーム対応に追われている行政当局だが、新宿区の態度を硬化させている背景には、大手企業の態度の悪さがある(と私は感じている)。

 新宿区に寄せられるクレームの相当数が、この某大手民泊の管理物件に集まっている。某大手は区が住民からのクレームを伝えても素直に動かず、むしろ言い返すこともあったようだ。

 本来であれば、大手は物件の管理をしっかり行い、業界をリードしていくべきで、この某大手の態度の悪さとクレームの多さが、区に「民泊はやっぱダメだわ」と印象付けた可能性がある。

(2026年9月8日19時 追記:事業者の方から現在は専用の連絡窓口をつくり、保健所からの要望も対応している旨を連絡いただきましたので、追記いたします。)

 条例改正までまだ少し時間があるので、業界はいち早くまとまって、自浄を働かせるべきだろう。

 この点、ホストクラブの動きは早かった。売掛金(カケ払い)が社会問題になるや、複数あった有力グループがまとまって売掛金の禁止を決めた。その当時、グループ間に距離があり、「まとめることは不可能だ」と思われていたが、業界への逆風を前にちゃんとまとまった。新宿の民泊はこれに続くことができるだろうか。

◆無届民泊・闇民泊・違法民泊

 民泊の問題を話すとき、無届民泊(=闇民泊・違法民泊)のことを避けては通れない。

 民泊は市区町村に届出をして営業をする「届出制」の規制業種だ。届出には所有者や管理者の情報や、ごみを誰が収集するかなどを記載する。許可制ではないので、自治体に届出がなされれば営業することができる。

 しかし、届出には1~2か月かかり、また届出をすると営業日数の制限(180日)がかかるので、手続きをせずに営業をしているケースがある。これが無届民泊だ。

 私たち区議は地域密着なので、よく住民から「あそこに外国人がスーツケースをもって入っていったけど、民泊じゃない?」といった話をきく。そのたびに、届出事業者の一覧をみて、記載がなければ区に通報をする。

 こうした無届民泊は管理の質以前に、違法で住民から気味悪がれており、民泊に対する住民感情の悪化につながっている。

 問題は、無届民泊の取り締まりを警察がなかなかしてくれないことだ。

 民泊の所管法は住宅宿泊事業法だが、都内で同法違反で検挙されたのは今年1月、荒川区の業者が初めてで、それ以降の話は聞かない(少なくとも新宿では)。

 普通に考えれば、無届民泊を見つけた場合、違法なので即警察案件だろうと思う。しかし、実際の対応は、自治体の保健所が「民泊を経営しているのであれば、届出をしてください」と届出を促す優しい世界線になっている。

 しかし、違法事業者も一筋縄ではいかない。「友達や親戚を泊めているだけ」、「お金はもらってない」と、民泊であることを認めないのだ。保健所が客に聞いても、そう言うように教えられているのか、なかなか尻尾をださない。

 こうなると保健所は違法民泊が民泊であることの証拠を集めなければならず、負担がかかっている。これを警察ではなく、保健所がやっているのだ。

◆規制強化へ

 住宅宿泊事業法では、住民の生活環境に大きな影響を起こす場合の民泊規制を認めており、今回の発表はそれを根拠にしている。

 一方で事業者からは「規制強化は闇民泊を増やすだけ」との指摘もあり一理ある。ただ、これだけ社会問題になっている民泊の規制強化は避けられない。

 もともと住宅宿泊事業法は、オリンピックを前にして違法で営業していた無許可の宿泊施設を、民泊に位置付けて行政でも把握できるようにするという狙いがあった。しかし、いまでは家が建ったら民泊だった、アパートが建ったら一棟まるまる民泊だった、マンションの隣の部屋が突然民泊になった、と規制のユルい旅館のような立ち位置でどんどん増えており、制度スタート時に想定していない事態になっている。

 民泊も増えすぎて住宅地に進出してきており、住宅地ではクレームになりやすく、クレームの増加が保健所の負担を増やしている。区では保健所の民泊担当を増員しているが、保健所の規模に比べて民泊が多すぎる。そもそも保健所の業務は民泊だけではない。

 今回の規制強化を区は「排除を目的としたものではない。住民の住環境を守るために管理をしっかりしてもらう」と狙いを説明しているが、本心は民泊を目の届くくらいの数に減らしたいのだと思う。

 住宅地の民泊禁止を発表したが、現状当該エリアの民泊は2100件ほどあり、新宿の民泊4000件のうち半数以上が将来的に撤退を余儀なくされる。区長は「訴訟リスクもあるが、国と相談して、そうならないような条例をつくる」と宣言した。

 自治体は住民の福祉の増進を目的としているので、住民にとってメリットのない民泊に厳しくなるのは当然だ。

 最後に今回発表された民泊規制について記しておく。

・住居系用途地域は原則新設を禁止(2年間の経過措置後既存施設も禁止)

・商業系用途地域は年間120日のみ営業可(2年間の経過措置後既存施設も適用)

・対面でのチェックインを義務づける

・周辺住民を対象とした説明会の実施を義務化

(参考:同時に発表された旅館業の規制強化)

・小規模な施設の新設の禁止

・フロントの設置と従業員の常駐を義務づける

・対面でのチェックインを義務づける

・周辺住民への説明を義務づける

 

*1:※規制が遅い!とツッコまれるかもしれないが、新宿区は全国でも早く規制条例を作り、住居専用地域では週末のみの営業とするなど、最近までもっとも厳しい条例であった

2027年度予算編成はじまる

 新宿区では毎年9月1日に副区長名で予算編成の依命通達がされます。

 この「依命通達」というのはちょっと不思議な言葉です。予算編成の指示ですから、本来は区長が各部に命じればいいのですが、なぜか副区長を通じて「区長の命令を受けたので替わって各部に通達する」のです。なぜかは知りませんが、そういう慣例になっています。

 この依命通達には、来年度の予算は「こうやって編成しなさい」という指示が含まれているため、来年度の予算の方向性がなんとなくわかる文書です。

 毎年、9月にこの依命通達を読み解いていますので、今年もやっていきましょう。

◆財布のひもは固い

 昨年、おととしは「抜本的な見直し」など強い表現を使って事業の見直し、経費削減を促していましたが、今年もその書きぶりは継続。一方で、特段の強い表現がみられなくなり、「総合計画の総仕上げ」などの事業のテコ入れにつながるような表現もありますが、全体的に、昨年同様、歳出増を抑えるトーンで書かれています。

◆未来の歳出増に備えよ

 また、今年の依命通達は物価高や建築費高騰が念頭にある書きぶりが特徴です。記がき以下の具体的な方針にこの一文が追加されました。

「事業者から取得する見積りについては、内容を十分に検証し、必要に応じて仕様を変更するなど過大な要求とならないよう精査すること」

 一見、当たり前のことを言っているのですが、急激な物価高の影響で、見積りを取るとびっくりするくらいの値上げがされていることがあります。今回の依命通達では、値上がり分を予算要求するのではなくて、ちゃんと一度立ち止まって考えなさい、ということが書かれました。

 また、こちらも新たに追加された一文です。

「工事費積算については、設計段階において機能性・メンテナンス性の高い手法の採用や仕様の見直しなどの特段の精査を行い見積もること」

 工事などで、作った後のメンテナンスなど、トータルコストや負担の軽減についての言及は、予算編成の依命通達では初めてではないでしょうか。

 今年の依命通達は、昨年に引き続き、絞れるところは絞るという方針で、その狙いは、近い将来にくるであろう老朽化した施設の更新に備えよ、ということだと受け止めました。通達では「将来需要に的確に対応するための強固な財政基盤の確立を目指す」と書かれていますが、こちらも今年からの表現です。

◆財政は厳しいのか?

 共産党はよく「区の貯金が500億円もある!」といって歳出増を煽りますが、新宿区の財政は余裕があるとは言えません。なぜなら貯金は500億円ありますが、借金である区債が200億円あり、(支出が予定されている)債務負担行為も150億円あるからです。

 また財政規模自体が大きくなっています。コロナ前の一般会計1540億円(2020年)が今年度(2026年度)1878億円と約20%増えているので、貯金「額」だけをみていても危険です。
 年間1000万円つかう人の300万円の貯金と、年間300万円つかう人の300万円の貯金では、金額は同じですが、安定性やいざとなったときの安心感は違います。

 新宿区の場合、財政規模と貯金の比率でいえば23区のなかで2番に少ないのです。
 つまり、景気が悪くなり、税収が減ったとき、翌年から急に事業をたくさん減らせないので貯金を使いますが、日頃使っている規模に比べて貯金がとても少ないということです。

 逆に言えば、それだけ、他区に比べて新宿区はさまざまな行政サービスに、【すでに】お金を使っているということです。

 今回の依命通達をみると、新規事業で新たに予算を獲得するのはなかなか厳しい方針と感じましたが、メリハリをつけて、必要なものに予算を配分するよう要望してまいります。

 また、政治家(議員)は新しい事業に「予算をつけた」とアピールし、有権者もそれを喜びますが、その逆側の、支出をどう抑えたかにも注目してもらえると、政治家も中長期的な視点で政策に打ち込めると思います。ぜひ、こうした視点にもご注目ください

靖国にいない英霊/『軍旗はためく下に』ネタバレなし・レビュー

「おい、逃げるなよ」、「逃げてねえよ」って会話、したことありますか。

 逃げてないのに逃げたと言われる。とても癪ですよね。ただ不快なだけでなく、これがもし、処罰になる場合、どう思いますか?

 1975年の直木賞受賞作『軍旗はためく下に』は、旧陸軍での逃亡や上官への反抗などの軍規違反で軍法会議にかけられ、刑死した人を描く連作短編集です。

 古今東西、軍隊には厳しい軍法が定められています。「上官の命令は絶対」、「敵を前にして逃亡してはならない」など、戦場という過酷な環境下で統率を維持するために必要な物です。

 ところが戦争も末期になると、軍規違反のなかには、真相はよくわからないまま、あるいはやむを得ない事情で退却して、果ては、「あいつは気に食わない」という事情で、敵前逃亡、命令違反を問われ、即日裁判、即日処刑が行われました。本作ではこうした様子をリアルに描いています。

 そういえば、水木しげるさんの『総員、玉砕せよ』でも、やむを得ず退却してきた兵士たちを上官が、「敵前逃亡だ!」と激怒する姿が描かれていました。

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(文庫版258ページより)

◆靖国にいない英霊たち

 さて、問題は戦後です。名誉の戦死者は、靖国神社に英霊として祀られ、遺族には戦没者遺族年金が支払われました。ところが、軍法で有罪となり刑死した人たちは、不名誉な「犯罪者」であり、これらの対象ではありません。

 同じ戦争犯罪でも、戦後、連合軍の軍事裁判によって裁かれたB級(捕虜虐待など)、C級(非人道的行為)戦犯はサンフランシスコ講和条約以降、名誉回復がなされ、刑死した場合は「法務死」として戦死と同列に扱われたのと決定的な差がついています(B・C級戦犯は靖国神社にも合祀されています)。

 一方、旧軍法による刑死者は戦後、3回の恩赦があり、終戦から25年たった1975年から戦没者遺族年金の対象となりましたが、恩赦は「判決が及ぼす効果がなくなる」という意味にとどまり、有罪判決があったこと自体は変わらず、犯罪者扱いに変わりはありません。靖国神社にも祀られていません(私が調べる限り)。

 ドイツでは2009年に「包括的名誉回復法」が成立し、ナチス時代の軍事裁判での有罪判決をすべて取り消し、軍法での刑死者らの名誉回復がなされました。

 すべての軍法会議の判決が間違っていたとはいいません。が、『軍旗はためく下に』が描くような、やむを得ない事情や、軍の事情で犠牲(いけにえ)が必要だったケース、あるいはもっとひどく、あいつは気に食わないという理由で刑死した人も存在したと思うのです(現在となっては検証不能ですが)。日本でも、靖国神社での合祀を含めて、ドイツのような対応で、彼らの名誉回復をするべきではないでしょうか。

ネタバレなし『みいちゃんと山田さん』レビュー

 話題の『みいちゃんと山田さん』は親の支援がない知的障害(軽度)・特性持ちが生きていく困難さを、よく描いた作品だと思います。

 Xではアニメ化に否定的ですが、私はデメリットよりも、こういう人がいて、こうした生きづらさを抱えている、と世の中に問題提起できる効果の方が高いと感じました。
 いじめてくるヤツは所詮、「みいちゃん」を知っていても、いなくてもバカにしてくるので、アニメ化はあまり関係ありません。

 以下、ネタバレなしでレビューします。

◆夜の繁華街で生きる

 水商売・風俗などを生業として、夜の繁華街で生きていくのは容易ではありません。繁華街は「だまされた方がバカだ」、という弱肉強食の世界です。一見、優しく見える味方や、助けてくれる人だと思っていても、実は裏の思惑があったり、簡単に手のひら返しをされるものです。

 こんな、健常者でも生き延びるのが大変な世界で、主人公のみいちゃんは(作中では具体的には語られませんが)軽度知的障害をもち、本人はなんとか頑張って生活しているつもりでも、売上をちょろまかされたり、お金を巻き上げられたり、周囲からは「いいように使われている」、「食い物にされている」と思われています。(読者もそう感じると思います)

 みいちゃんはキャバクラで働き始めますが、水商売や風俗は一度その世界に入ると、なかなか戻ってこれない仕掛けがあります。

 水・風の仕事は高収入ですが、同時に高支出でもあります。同業づきあいや、美容関係、体力回復の針、マッサージなど、さらに高ストレスでもあるので、ストレス解消やメンタルを保つためのペットや、ブランド品などの高額消費、ホストなどの支出があり、稼ぎほどのお金がなかなか残らないものです。

 また風俗の給料は日払いなので、「明日から貯めればいい」、「私はいつだって稼げる」という心理が働き、貯金しづらくなっています。
 貯金より、その日にたまった高ストレスを、その日中に発散させたくなるのです。宵越しの銭が持たないのは江戸っ子だけではありません。作中では主人公が昼職(パン屋)に転職し、一日苦労して働き、その日の給料をもらえず翌月払いと言われ、衝撃を受けるシーンがありました。

 さて、繁華街でみいちゃんが生き残っていくために使っているのは体です。

 みいちゃんは誰にでも体をすぐに許してしまいます。それどころか、むしろ自分から進んで体を提供します。

 一般の価値観では軽蔑されるふるまいですが、みいちゃんは肉体関係を通じてしか、人とコミュニケーションを取れません。みいちゃんは怒られることが何よりも嫌いですが、これまでの人生で、いじめっ子も、学校の先生も、職場の同僚も、みんな体を差し出しているときは優しくなり、万引きした店の店長も許してくれました。

 このように体を使うことは彼女にとって、ものごとを円滑にするコミュニケーションの唯一の手段で、人間関係構築が究極的に下手なみいちゃんにとって、これこそが彼女の生き残り戦術であり、成功体験でもあるのです。

 昼の世界でこれをすると、「ヤバいヤツ」、「地雷女」と評価されて生きていけませんが、夜の世界では周りに見下されながらも重宝される一面もあり、これもさまざまなバックグラウンドをもった人が集まる、夜の街の「懐の深さ」と言えるかもしれません。

◆こんな自分でも愛してくれる人がいる

 職場では失敗ばかりして、迷惑をかけて、迷惑をかけたことに気づかず、謝ることもしないと、友達も恋人もできません。

 だけど世の中にはこんな人でも優しくしてくれる人がいます。それがホスト(キャバクラ)です。ホストクラブでの恋愛は、とてもむなしいものです。なぜならお金が介在しないと愛してくれないから。でも、逆に考えると、ホスト(キャバクラ)での疑似恋愛はお金以外はなにもいらないし、お金が続く限り、愛も続くのです。単純でわかりやすいインスタントな関係です。

 普通、友達や恋人はいろいろな共通の体験を通じ、信頼を積んで関係が構築されますが、ホストやキャバはそういうめんどくさい部分を、お金というファストパスですっ飛ばすことができます。日常生活で信頼関係を築けない人にとって、こんなにいいことは他にありません。だからハマりやすいのです。
(みいちゃんの「彼氏」はホストではありませんが、関係性はこれと同じです)

 よく「ホス狂は依存症だ」といわれますが、これは親や友人など周囲が心配しているのに、本人が望んでホストに通っているためです。アルコール依存症の当事者が「うるさい、俺が大丈夫って言ってるんだから、大丈夫なんだ!」、「俺の金を俺がつかって何が悪い!」というのと同じで、本人がその破滅の道を突き進むことを望んでいるのです。

 周りはホストに搾取されていると心配しますが、本人は自分の意志でお金を使っている(そしてなりふり構わず稼いでいる)のです。

 私は、かつてホストに通っていた方に話を聞いた時、「あの時は頑張ってたんだよね~」と、嫌な思い出ではなく、昔を懐かしむように語っていたのが印象的でした。

 お金が間にある疑似恋愛の陶酔状態。この状態は決して「幸せ」だとは思いませんが、「不幸」とも言えないのです。当人にしかわからない、言葉に表すことのできない状態だと思います。

 そして、もう1点。みいちゃんは「彼氏」のマオくんにお金を払って愛して(?)もらっていますが、それと同時に、彼女自身が、シゲオくんをはじめ、客からお金をもらって愛を与えている存在でもあります。

 「頂き女子りりちゃん」がおぢから金を巻きあげて、それをホストにつぎ込んでいたように。りりちゃんはホストの前では、自分自身がおぢになって「頂かれて」いたのです。このように繁華街での人間性は一面では語れません。

◆行政の限界

 この物語では行政が登場します。でも、みいちゃんは行政の窓口にたどり着くことができなかったり、そもそも自分が支援が必要な人間であるという自覚がなかったり、行政と繋がるチャンスを拒否したり、結局、行政の支援を受けることができません。みいちゃんは健康保険証すら持っていないのです。

 みいちゃんはよく「(私は)バカじゃないもん!」と言います。行政の支援は、自分は支援が必要な人間だ、と受け入れるところからスタートする限界があります。

 世の中には、自立支援を拒否するホームレスや、「俺のカネをつかって何が悪い」というアルコール依存症、「うちの子は障害者ではない」という障害を持つ子の親など、自分(たち)には支援は必要ないと、手を差し伸べても拒否する人たちがいます。そうなると行政は手のうちようがありません。(行政の実際は、それでも継続的にアプローチし、信頼関係を築いて支援を「受け入れてもらう」ことをしています)

 本作で注目すべきは主人公・みいちゃんの対比する存在で、同程度の障害・特性をもつ同級生のムウちゃんです。彼女は紆余曲折ありながら、行政の支援をうけて作業所に通っています。殺されてしまう(?)みいちゃんと、行政の支援を受けられたムウちゃんとで、いったいなにが違ったのか考えさせられます。

 親、といえばひとことなのですが、みいちゃんの悲惨を加速させているのが親の存在です。

 祖母は行政の支援を受け入れるか迷うシーンがありますが、「世間体」を考え、拒否し、みいちゃんの成人後は100万円の餞別をもたせて東京に厄介払いをしています。

 法律上、未成年の子に対して親権者の権限と責任はとても大きいですが、障害者にとって親は最大の支援者、支えてくれる人であり、みいちゃんはその支援者がいませんでした。こうした場合、行政はどうすべきなんでしょうか。

 2024年4月、「困難を抱える女性支援法」が施行されました。その名の通りの法律なのですが、親もみいちゃんも、「自分は困難を抱えている」と思っていない場合、困難を抱える女性にあたるのでしょうか。

 とまあ、知的障害、毒親、繁華街などさまざまなテーマで考えさせられる作品です。単行本は9月完結ということで、まだ物語が続いています。9月に完結したらまたレビューすると思います。

 この文章の散漫さは、『みいちゃんと山田さん』が私の力ではまとめきれないほどのテーマを扱っている、ということです。おもしろい漫画でした。

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◆(8月2日追記)当事者意識がない、と言われてショックです

「支援を望まない人も包括する仕組みを作るのがあなたの仕事」というブコメに多くの星がついていますが、(議員も行政も)それに苦慮している、というのがこのエントリーと思ってください。

「支援を望まない人を支援する」のはとても難しいことで、つまり、当人の意に反して強制的に、行政が自由や選択肢を奪うことにつながるからです。例えば、精神病院への強制入院(措置入院など)はしばしばトラブルが起こります。

 では、アルコール依存やホスト依存、みいちゃんのように「私はバカじゃない」といっている人を強制的に施設に入所させること、(例が極端なら、カウンセリングをうけさせることなど、に置き換えて考えてください)は支援と言えるでしょうか。これこそ、はてな民が最も嫌いな「政府権力が市民の自由を~」ってやつなんじゃないですか。

 なので、実際の行政はNPOなどに協力をしてもらって、支援の必要性を説き、粘り強くコミュニケーションをとり、信頼関係を作って、支援を「受け入れてもらう」ことをしているのです。

ハッピー商品券の拡充・ポイ捨て禁止条例改正(第二回定例会報告)

 6月10日から今年第二回目の定例会が開催されます。今回は補正予算で物価高騰対策として、区商店街連合会発行のプレミアム付き商品券(ハッピー商品券)の拡充等を行います。

 条例関係では、ポイ捨て禁止条例改正を行い、空き缶やたばこ以外に、飲食のテイクアウトで使われるプラコップや串、割りばしなどもポイ捨て禁止の対象品目とし、犬のふんの持ち帰り(適正処理)が飼い主の義務と位置づけます。
 前者は新大久保や歌舞伎町が念頭にあり、区では「ポイ捨てをしないでください」、「持ち帰るか買った店で捨ててください」という啓発パトロール等を強化します(この補正予算も1千万円ついています)。

◆ハッピー商品券のプレミアム率拡充(1億6千万円)

 物価高騰対策、中東情勢の影響が長引いていることを考慮し、生活支援と同時に地元商業活性化のため、商店街連合会発行のハッピー商品券のプレミアム率を強化します。

 当初1万円で1万2000円の商品券(20%)でしたが、プレミアム率を30%に改め、1万3000円分の商品券にします。1万3000円中、すべての店でつかえる共通券が5000円分、小さいお店(ようは地元の店)で使える応援券が8000円分です。

 自民党会派(自民・参政クラブ)では5月に物価高騰対策の要望をだし、それに区がこたえていただきました。議会では先議案件となっていますので、早々に可決させたいと思います(反対する会派もいないでしょう)。

 なお本事業は当初予算4億6千万円、今回の補正で5億2千万円になりました。

◆ポイ捨て禁止条例改正

 新宿区ではすでにポイ捨て禁止条例がありますが、禁止されている品目が空き缶やたばこ等で、最近繁華街でポイ捨てが目立つ、プラスチックコップや食べ物の包装紙、串、割りばし、弁当容器などが漏れていました。

 実際のポイ捨てについてはこれらの品目もパトロール隊が「捨てないでください」と注意して回っていますが、この際ちゃんと条例で根拠をつくろう、ということです。

 一方で、罰則についてはモヤモヤしています。じつはこの条例、違反した場合「罰金2万円」とされています。ところが、この罰金を取った例は条例制定以来、1件もないのです。というのも、罰金が科されるまでのハードルが高く、警察が捕まえ、送検され、起訴され、有罪判決を受けて初めて確定します。

 ところが、警察は「区が決めたことでしょ」と取り締まらないし、区も「捕まえるのは警察の仕事」といって、その結果、行政が罰金を取る責任を放棄し、罰則に実効性がなくなっています。

 であるならいっそのこと、罰則は撤廃する選択をしてもいいのではないでしょうか。現に、犬のふんは条項が新設されますが、罰則は規定されません。渋谷区では昨年、条例改正をし、罰金を撤廃し、2000円の過料を取る制度に変更しました(そして今、苦労しています)。この辺りの話はまた別のエントリーで書きたいと思います。

 開会する10日まで準備をし、審議に臨みたいと思います。