渡辺みちたか(自民党・新宿区議会議員)official blog

新宿のミッチー。新宿区議会議員(自民党)。1985年12月生まれ。「渡辺ミッチー」こと渡辺美智雄・元副総理の孫。慶応義塾高等学校・慶応義塾大学・同大学院卒業。中小企業勤務、国会議員秘書を経て新宿区議会議員(2期)。会派は自民党区議団。

公共施設の再開発プロジェクト(南町田グランベリーパーク)

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 また先月の話になってしまうが、会派の視察で南町田グランベリーパークに伺い、公共施設を含めて行われた再開発プロジェクトの話をお聞きした。この南町田グランベリーパーク駅(旧・南町田駅)の南側エリアは以前から東急のアウトレットモール(グランベリーモール)があり、建物等の施設更新に合わせて周辺の公園、駅、タワマン、道路等を複合的に再開発し、ほぼ完了した。

 アウトレットのグランベリーモールは「グランベリーパーク」に改められ、これを中心とした新しい街は、駅の改札を出た瞬間から始まる世界だった。アウトレットは再オープンから4年のピカピカの施設で、ごみ箱があまりないのにごみが全く落ちていないのに驚かされた。新宿の新大久保周辺では来街者によるごみのポイ捨て問題に悩まされており、「ごみは持ち帰りましょう」と呼びかける運動を始めている。すぐにはできると思っていないが来街者に粘り強く訴えかければ、やがてはこうできるかもしれない。

 グランベリーパークに隣接する町田市立の鶴間公園は、公園としての機能のほか、テニスコート、グラウンドを有する広大な公園(町田市にはこの規模の公園があと二つもある!)で、再開発に合わせて公園を分断していた道路を用地変更し、フラットで明るい公園に作り替えた。再開発前は木々がうっそうと茂って薄暗く、防犯面に課題があったようで、かつての新宿中央公園を思い出した。新しくなった公園の広場にへとても大きな桜があり、そのつぼみはまだ固かったが、多数の市民が散策し、保育園児たちも走って遊んでいて憩いの場を感じさせた。

 この公園はアウトレットと行き来しやすい導線になっていて、何も知らなければ同じ施設と思うだろう。前述のとおり、再開発で分断させていた道路を廃止してアウトレットと一体化させた。現在、グランベリーパーク側はテイクアウトの食べ物や、自転車のレンタルなどは鶴間公園で楽しめるようにしており、公園のインフラ機能をアウトレットのコンテンツの一部として利用できる設計になっている。新宿であれば「なんで私企業のために税金をかけて再開発を……」という視点が出てきて、公園について何らかの負担を企業側に求める話が出てくると思うが、市役所の方に質問してもピンときていなかった。むしろ、周辺地価も上がり、買い物もここで済むようになり、(商店などをやってる方はともかく)多くの市民は喜んでいる、という認識であった。確かにアウトレットにはファッションだけでなく、日常生活に必要なお店(携帯キャリアのショップ、生鮮食品)や大きな書店もモール内にあり、市民の日常利用もされているんだと感じた。

 ところで、さすが東急の再開発と思わせるのは、隣接する田園都市線南町田駅を南町田グランベリーパーク駅に改称して、急行の停車駅にしたことだ。結果、乗降客数は1,5倍に増えたという。住民の利便性も向上し、こうしたソフトの交通面を含めた再開発ができるのが鉄道会社を抱えるグループ企業の強みだ。

 いま、新宿区でも築58年の区役所本庁舎の在り方について議論がなされている。区庁舎だけでなく、これから10年~20年で区内の多くの公共施設が更新の時期を迎えるが、隣接する民間企業や大学と複合的な再開発ができるかもしれない。今回の再開発プロジェクトはそうした選択肢の先行事例として実りのある視察であった。 

ふれあい入浴と中町地域交流館の視察

 先月の話になるが、福祉健康委員会の管内視察で中町地域交流館に伺った。新宿区議会では、それぞれの委員会で月一回、新宿区内の行政施設等を視察し、施設の現場職員との意見交換をする機会があるが、今回の視察は私が希望した施設であった。

銭湯の閉業と地域交流館のお風呂の時間延長措置

 区には高齢者の健康増進や、介護予防、生きがいづくりなどの拠点として、地域交流館という高齢者施設がある。施設にはお風呂や、マッサージ器、交流のためのスペースなどがある。地域交流館は利用者を65歳以上に制限しており、話はきくものの私が直接利用する機会がなく、たまに地域のイベントの会場として使われる落合地区の地域交流館にお邪魔する程度だった。

 さて、この数年、区内の銭湯が閉業することがあり、そうした銭湯に通っていた人たちから、近場に銭湯がなくなって困っている、何とかしてくれという声が上がっている。区で銭湯を経営するわけもいかないから、代替というか、対応措置として閉業した地区の地域交流館にあるお風呂の営業時間を延長する、という対策が数か所で行われている。それで、地域交流館のお風呂なるものが、いったいどういうものなのか見てみたかったのだ。

 先日の区議会でも銭湯に関連する陳情の審査が行われた。陳情は北新宿地区の銭湯が12月に閉業し、住民から隣接地である東中野地域(中野区)の銭湯で、新宿区のふれあい入浴券(高齢者らが利用できる銭湯の無料券。月4回)を利用可能にしてほしい、というものだった。この話は先例のない話ではない。過去に西新宿地域で銭湯が全くなくなった際、隣接する渋谷区の銭湯で、新宿区のふれあい入浴券の利用を可能にした事例(追加料金はかかる)がある。こうした事例をもとに、昨年から北新宿で活動する池田大介区議が地元・役所・銭湯の団体と話を聞き、実現に向けてずいぶんと調整をしていた。結果は西新宿と事情が異なるということで、ふれあい入浴券の越境利用は認められず、とはいえ役所としてゼロ回答という訳もいかず、地域交流館のお風呂の時間延長をする、という決着がなされた。そうした調整・決定の後に議会へ出てきた陳情だったので、我々としては不採択の意見を述べ、結果として審議未了となった。

地域交流館のお風呂は銭湯の代替にはならない

 視察した中町地域交流館は牛込地域にあり、古い建物ながら、とても掃除の行き届いた清潔な施設だった。お風呂は4,5人で目いっぱいという感じで、1つだけなので曜日ごとに男女を分けて運用をしていた。他の地域交流館でもハード面ではそんなに大差ないだろうと思う。視察をした率直な感想としては、地域交流館のお風呂は閉館する銭湯の代替に耐えるような規模では全くない、ということだ。だから現実として銭湯の閉業の対応として、交流館のお風呂の時間延長をしたとしても、多くの方はほかの銭湯まで行っているのだと思う。

 また、ふれあい入浴券は高齢者の健康増進・交流促進がタテマエになっているが、本質的には銭湯業界に対する支援策で、産業政策であることもコトをややこしくしている。区内銭湯への産業政策であるならば、行政施設のお風呂で代替対応するのは筋違いな話だ。逆に、区内の銭湯を守るため区外の銭湯でふれあい入浴券の利用ができないのは理解できる。だとするなら、中野、渋谷など近隣区と提携をして相互利用できるようにするのはどうなのでろうか。それなら行って来いで大体同じになるのではないだろうか。

 また23区各自治体で銭湯の無料利用サービスを行政が行っているが、利用者や対象日数がそれぞれ異なる。新宿区では60歳以上、障がい者、低所得の子育て家庭に月4回のふれあい入浴事業を行っているが、対象や日数を今一度見直す余地はないのか。そうした問題提起をもらう視察であった。引き続き、役所や業界団体とも意見交換をしていきたい。

 

(参考)東京都浴場組合HP(行政との連携事業)
→同じ23区の銭湯無料サービスでも、各区で内容がかなり違う。子どもと一緒に月2回無料とかもある。

ハロウィン期間中の歌舞伎町周辺での路上飲み禁止条例案

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◆新宿ではまだ問題になっていないハロウィン

 今日の議会で、ハロウィン期間の新宿駅周辺の秩序を守るための条例を作りたいと報告があった。最近の区役所は区のイメージにかかわる課題の対応がとても早い。歌舞伎町のホストクラブ、歌舞伎町のネズミの大繁殖の問題は、SNSで話題になると即座に動いて1か月以内に対応策を提示した。これら事業の評価はこれからだが、素早い対応をしようとする姿勢はとても評価できるし、我々もなるべく応援していきたい。

 そういう文脈でいうと、ハロウィン期間中の規制は区の対応が早いどころか、まだ起こっていない問題に対して、未然に問題を防ごうという野心的な試みだ。

 ことの経緯は昨年のハロウィンで、渋谷区が「渋谷にこないでください」と宣言して対応を強化した。その結果、推定3000人ほどが新宿に流れたとされる。ただ、昨年を含め、いままで新宿でハロウィン期間中に特段のトラブルは起こっていない。とはいえ、ハロウィン後に残されたごみの量は半端ではなく、清掃が大変だとも聞いている。その後、周辺の七つの商店街・町会から「安心・安全の街づくり」を求める要望が区に提出された。

◆経済的メリットは薄く、デメリットが大きいハロウィン

 そもそもハロウィンのような街の中を歩くイベントは、地元の飲食店や商店への経済的恩恵が薄い。冬になると街路樹にイルミネーションをする街も多いが、人は集まってくるが「思ったよりお金は落とさない」という話を聞く。たしかに、ハロウィンで仮装をする人、それを見ようと集まる人が、商店で買い物をするかといえば、あまりピンとこない。食事はするかもしれないが、居酒屋などが中心だろう。

 そうした経済的メリットが薄い中で、一部のマナーの悪い人たちが、路上で酒を飲み歩き、騒ぎ、トラブルを起こす。2018年のハロウィンでは渋谷で車をひっくり返す事件が起こった。人が多く、かつ仮装で顔が隠れているのをいいことに痴漢行為を働く者もいる。昨年、渋谷区ではハロウィン期間の対応に5000万円の予算をかけた。たった数日間の(ほとんどが区民ではない)来街者の対応のために、区民が5000万円支出しているということで、区長の「渋谷に来ないで」と言いたくなる気持ちもわかる。

◆「節度をもって新宿を楽しんでもらえる」条例をはたして作れるか

 新宿では、今年のハロウィンから対策をする。今日の防災安全対策特別委員会で区当局から報告がなされたが、まだ細かいところは決まっていない。大枠として新宿駅東側(歌舞伎町・新宿3丁目)で路上飲酒の禁止、酒類販売自粛のお願い、騒ぐなどの迷惑行為を禁止をするというものだ。区の思いとしては「新宿に来ないでくれ」というものでは決してなく、「節度をもって新宿の街を楽しんでもらえるようにしたい」ということで、この辺りは吉住区長らしいなあと思う。区長の思いをくみ取ると、これまで問題は起こってないのでルールは最小限で、今後状況をみて厳しくしていくのがいいのではないかと思う。一度厳しいルールを定めてしまうと、緩めるということはなかなかできない。また、酒類販売自粛や路上飲酒禁止といっても、どのように実効性を確保していくかもキモになる。ただの理念条例で終わるのであれば作る意味はない。

 今日の委員会では条例案の中身について質問しても「細かい部分はまだ~~」という答弁だったので、これから詰める部分が多いのだろう。6月の議会で条例案補正予算案がでてくるので、それに向けて意見を言っていきたい。

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以下自分用メモ

・起こっていない問題を未然に防ぐ条例・予算なので、失敗を恐れずにやってもらいたい。
・規制の強いものを作ったら、緩めることはなかなかできない。
・「酒類販売自粛」「路上飲酒禁止」で目的(秩序維持とごみのポイ捨て抑制など)は達成できるのか。
・ハロウィン直前のメディアの取材では、このままだと路上飲酒禁止ばかりが目立ってしまうから、既存のごみのポイ捨て禁止条例もアピールして2本立てで対応してほしい。
・実効性が重要だが、酒類の販売自粛はどのようにお願いするのか。商店街に入っていない店舗も多い。逆にボトルを中心に取りそろえる(路上飲みされがちな缶はあまり売っていない)酒屋もあるが、条例施行後は酒屋が酒を売れなくなってしまうのでは。
・期間中の臨時のごみ箱の設置はメリットとデメリットがあると思う。

新宿のオーバーツーリズム(新大久保とハロウィン)

 新宿はいくらでも観光客を受け入れるキャパがありそうだが、現実はそうでもない。

 コロナ前は爆買いブームで、海外からの団体客のツアーバスが数多く路上駐車をして問題になった。区では年間数千万円かけて、歌舞伎町に観光バス用の駐車スペースを借り上げ誘導していた。コロナ後も観光客が戻ってきているが、団体ではなく個人旅行が多く、いまのところ再発していない。

若い女性で賑わう新大久保

 いまオーバーツーリズムが起こっているのは新大久保駅を中心とした大久保通りだ。かつて女性の多い街といえば表参道だったが*1、大久保も引けをとらないくらい若い女性でにぎわっている。平日の午後も人出がすごいが、週末は特に多く、歩道の歩行者が滞留して、車道にまではみ出ていることも見かける。

 これまでの韓国ブームは「冬ソナ」、「BTS」と韓国人気を象徴するものがあったが、最近はブームというよりすっかり人気が定着し、韓国コスメ、韓流アイドル、韓国料理、食べ歩きといろいろなことを目的に、「一度行ってみようよ」という街から、リピーターでにぎわう街になっている。

 新大久保の特徴は、一本路地に入ればアパートや一軒家の建ち並ぶ住宅街で、来街者による騒音や、食べ歩きの串やカップなどのごみのポイ捨て、それに伴いネズミが増殖するなど、近隣住民への迷惑が発生している。この街にくる観光客はマナーが悪いというわけではなく、いたって普通なのだが、それでも来街者が多すぎて街のキャパシティを超えている。

 街でもクリーン活動をし、JRも改札を設置して出入りを分散させ、区も交通指導員の配置、マナー啓発などを行っており、昨年からは「ごみは持ち帰りましょう」等の新大久保ルールをつくり啓発を始めた。街でも努力するが、観光客にも協力を依頼するのはいい方向だと思う。若い方はエコ意識があり、また案外(失礼!)素直なので、急には難しいだろうが徐々に浸透していくといい。来年度は約3000万円予算を増やし、合計7000万円で大久保のまちづくりを推進する。なお、新大久保駅大久保駅周辺のことは下村はるお議員、池田大介議員が尽力している。

ハロウィン期間のルール作り

 もう一つはハロウィンのことで、昨年渋谷区が「渋谷にこないで」とハロウィンをお手上げした。かつては「ハロウィンは渋谷で」と呼びかけていたので、なんなんだと思わなくもないが、こうしたイベントごとは来街者によるデメリットがメリットを超えることがある。

 街からすれば「思ったよりお金を落とさない」、「リピーターにならない」ということだ。ハロウィンを通じて渋谷が好きになり、地域にお金を落としてくれれば渋谷としてはありがたいが、ハロウィンは来街者がお店で飲食したり、物を買ったりという感じではない。ハロウィン目的の来街者は喫茶店や商店のトイレで着替えをし、街に繰り出す。それを見ようと(雰囲気を味わおうと)人がさらに集まりウェーイと騒ぐ。路上でお酒を飲み、ごみを捨てる。トラブルも起きる。仮装で顔が隠れているため、堂々と痴漢行為を働く者もいる。結果、受け入れ側の行政や街は、交通整理、トラブル対応、ごみの片付けばかりやっている。昨年、渋谷区では数日のために8000万円ほどの経費をかけたようで、「もうこないで」と言いたくもなる。

 さて、昨年は渋谷のお手上げの結果、推定3000人ほどが新宿に流れた。特段トラブルがあったとは聞いていないが、未然対応で今年のハロウィンに向けて条例案を作る。ハロウィンに間に合わせるためには6月議会で審議する必要があり、ハロウィンの期間も街の秩序を保てるような実効性を求めていきたい。

*1:表参道交差点のみずほ銀行のATMが日本で一番女性の利用率が高いと聞いたことがある

老木化する桜、未来にどう残す

神田川沿いの桜並木


 桜は日本人が愛する花の一つで、古くから人々に愛でられてきた。百人一首にも桜の歌が6首ある。桜は一年のうちたった十日ほどしか咲かないが、満開時の美しさと散り際のはかなさが日本人の美意識にかない、心に染みるのだと思う。

全国で倒れる樹木

 この桜の老木化が全国各地で問題になっている。首都圏の桜はソメイヨシノが大多数だが、そもそも強い木ではなく、樹齢30年を超えると状態によっては空洞ができ、倒木の恐れがでてくる。神奈川県小田原市では、昨年2月に桜の老木が倒れたのをきっかけに樹木診断を行ったところ、街路樹の桜の約二割が倒木の恐れがあると発覚し、特に危険性の高い約一割の38本を一斉に伐採した。都内でも国立市や目黒区でも桜並木を次世代につなげるべく、計画を立てて伐採・植栽を実行している。新宿区が管理する桜も樹齢三十年を超すものが1190本ある。

 木ははたから見ただけでは中の状態はわからない。元気なように見えても実はウロがあり、強い風でバッタリ倒れることがある。昨年4月に相模原市のキャンプ場で起こった倒木による死亡事故は、まさにこうした木だった。

 新宿区では来年度の新規事業として樹木診断の費用が計上された。すべての街路樹と公園の木を樹木医が診断し、その結果を踏まえ、桜並木の次世代に向けたアクションプランを策定する。念頭にあるのは生育環境の似ている目黒川の桜並木の実行計画だろう。

政局化しないような管理を

 近年、木を切ることがいさかいとなるケースがある。神田警察通りのイチョウ並木や、神宮外苑の再開発は象徴的な出来事で、木に対して世間の同情感が高まっている。老木化した危険な木は事故が起こる前に切るべきだが、行政による伐採が目立つやり方だと反対の声や、それを政局にしようと住民を煽り立てる勢力がでてくる。人々に愛されている桜並木は、特に政争の具にされやすく、そうならぬよう樹木診断を行って危険性を判断し、住民を交え計画を立てて管理していくことが大切だ。新宿区内の桜並木は見るものを癒すだけでなく、会社やサークル、地域の行事のお花見で親交を深めたり、ライトアップをして観光資源として活用したりと様々役割を担っている。次世代でもこの資産を残せるよう今後も提案をしていく。