共産党の区議が区役所内でしんぶん赤旗を勧誘・集金し、区役所の職員の64%が心理的な圧力を感じていた、というニュースが報道された。
共産党区議が新宿区管理職に赤旗を「押し売り」 アンケートに64%が「心理的な圧力」 - 産経ニュース
情報の元ネタとなったのは、区が課長級以上の管理職職員向けに行ったハラスメント調査の「議員によるパワハラ」、「政党機関誌について」の部分だ。
◆押し売りは公然の秘密?
このアンケート調査はもともと、ある新宿区民から陳情が区議会に提出されたことから端を発している。今年6月に提出された陳情の内容は、新宿区役所内で議員が政党機関紙を販売しているのではないかと指摘し、その上で、
- 新宿区役所内では物品の売買の際は許可証が必要だが、いま行われている政党機関誌の販売は、許可を得ていないのではないか。
- 議員が政党機関誌を勧誘している場合、職員が心理的圧力を感じているのではないか、であるならば、アンケート調査をしてほしい。
というものであった。
新宿区役所内では、共産党の区議会議員がしんぶん赤旗を区幹部職員に庁舎内で勧誘し、集金をする行為が長年続いており、そのことは公然の秘密状態であったが、それを問題視した陳情であったといえる。なお、この公然の秘密は10月14日の総務区民委員会において、区当局から区議によるしんぶん赤旗の勧誘と集金が行われている(行われていた)ことが答弁され、公然の事実となった。
陳情審査の中では当初「実態調査はしない」としていた区当局だが、議論が深まるにつれ問題を深刻にとらえ、職員に対して「議員からのハラスメント」、「政党機関誌の勧誘」など、ハラスメント全般についてのアンケート調査を実施することになった。
◆共産党議員のパワハラの手口
アンケートの結果によれば幹部職員の約85%が政党機関誌の勧誘を受けたことがあり、うち64.3%が心理的な圧力を感じ、また、勧誘された後に「購読した」、「やむを得ず購読した」、「断ったが重ねて勧誘を受けた」の3つの回答が90%もの割合を占めた。これはもうパワハラと言ってもいいだろう。
また、アンケート調査によって共産区議による勧誘のえげつない手法も明らかになった。勧誘は議会対応が仕事となる課長に昇進が決まった係長に対しても行われていた。
つまり、係長級の職員が課長昇進の内示を受けた時に、議会の論客・うるさ型である共産区議が「これからよろしくね」と挨拶に来て、「赤旗買ってくれない?」と同時に勧誘するのだ。
議会対応は課長級以上の仕事なので、係長以下は議員とほとんど接する機会がなく、昇進の決まった時点での係長は議会の右も左もわからない状態だ。これから議会対応もしなきゃいけないのか、不安だなあ、と思っているところに、突然、議会で恐れられている共産党の区議が挨拶とともに赤旗の勧誘にくるのだ。これは断れない。
これはまるで繁華街に新しくお店を出したとき、地元のコワモテが来て、「これから仲良くしようやー」の言葉と共に、「おしぼりはウチで」、「ミネラルウォーターをー」、「観葉植物のリースをー」と迫ってくるケースと何ら変わらない。古典的なみかじめ料の徴収の手口だ。いくら役所が歌舞伎町にあるからって、こんな古典的なことをしてるのは共産党だけだろう。
ちなみに、共産党議員なんてそんな影響力ないだろう(パワーはないだろう)と思うかもしれないが、新宿区議会における状況は自民党8議席、公明党8議席、共産党7議席と大きな力をもっている。
◆共産党は早急にハラスメントに対応せよ
もし、自民党が区の職員にパーティー券を売っていたら(そんなことしてないよ)、共産党は烈火のごとく「パワハラだ!」と怒るだろう。しかし自分のことになると急に甘くなる。現に会派幹事長は「議会全体で議論すべきことだ」と現時点で全くやめる気はなさそうだ。
新宿区は課長級以上の職員が100名前後おり、「しんぶん赤旗」日刊版であれば月額3497円、日曜版であれば月額990円。つまり年間で最大420万円~120万円を区職員から徴収しており、これを失うのはなかなかの痛手だろうが、ぜひハラスメント対策に取り組む共産党であれば早急に是正してほしい。
また、区当局もこの結果を受けて、職員を守るために何らかの対策をするだろうが、区議会としても政党機関誌についてはルールを設けるなり自浄を図っていきたい。