渡辺みちたか(自民党・新宿区議会議員)official blog

新宿のミッチー。新宿区議会議員(自民党)。1985年12月生まれ。「渡辺ミッチー」こと渡辺美智雄・元副総理の孫。慶応義塾高等学校・慶応義塾大学・同大学院卒業。中小企業勤務、国会議員秘書を経て新宿区議会議員(2期)。会派は自民党区議団。

岸田総理所信表明演説で今後おこりそうなこと

 総理の所信表明は、短時間の演説の中で政策を網羅しており、書き方も一文一文気を使っているので、精読すると次の一手がみえてくる。ずっと追っかけている分野の政策では何をいまさらということが多いけど、政策全般を追いかけられているわけではないから、こうして凝縮した演説は政府が何をしたいのかがわかって大変ありがたい。以下、所感を書く。

「賃上げの岸田」から「子育ての岸田」へ

 岸田総理が総理になった直後、何をやりたいのか、という問いに「賃上げをやる」といって、みんな、えっ?という感じだったが、1年以上繰り返し繰り返し言い続け、企業にも呼びかけ、ようやく実がなりつつある。今振り返るとその方向はまったく間違っていなかった。物価が高くなって、賃上げがされれば経済の好循環が形成できるかもしれない。今回も賃上げについての政策が一丁目一番地で取り上げられた。

 また賃上げに続いて、今回の演説で強く打ち出したのは子育てについてだった。子ども家庭庁に3つの基本方針を示し、政策を進めていくとの書きぶりなので、トップダウン・政治決断が先行した政策がこれから出てくる。岸田総理は決められない男との評価が付きまとうが、要所要所ではちゃんと強い決断をしている。今回の所信表明で感じたのは「賃上げの岸田」から「子育ての岸田」へのムービングで、賃上げの一定のめどをつけて、次なる目玉政策の「少子化対策」、「子育て政策」への移行を考えているのかもしれない。岸田内閣の支持率は現在30% 台と低調だが、賃上げの方向は正しいし、今回も子育てという政治的決断をちゃんとしているので上向きになってくるのでは。なんか噛めば噛むほど味がでてくるタイプじゃない?

 ほかに内政への言及ではリスキング(学びなおし)からの転職支援、マイナンバーカードの活用あたりが目に留まった。マイナンバー関連で、河野太郎デジタル大臣はかねてより「マイナンバーカードは所有者が便利だと実感できれば自然と普及する」と言っている。群馬県前橋市では福祉タクシーに乗るときにマイナンバーカードをかざすと乗車でき、また残りの回数が表示されるが、こういった自治体で便利に使えるように政府が後押しする方向なんだと思う。

 一方で、GX(グリーントランスフォーメーション)の文脈で原発が威風堂々と入っており、いつのまにか脱炭素の電力の中心が原発にすり替わっている。なので今後、脱炭素!グリーントランスフォーメーション!という予算では原発関連、LNG・石炭火力発電の新技術関連(=水素・アンモニア)にたくさん予算が付くんだと思う。おい、再エネはどこ行った。環境省もっと頑張れ。

 また、防衛費の財源についての書きぶりは、

行財政改革の努力を最大限行い、足りない4分の1(1兆円)については「将来世代に先送りすることなく27年度に向けて、今を生きる我々が、将来世代への責任として対応してまいります」

 というものだった。カッコのところが重要で、党内での批判がある中で改めて増税する、と言い切ったと受け止めている。これも岸田総理の決断の一つだ。4月に選挙を控える身としては厳しいが、国債発行(からの日銀引き受け) ではなく方向性は正しいと思う。

 その他、個人的には「地方議会活性化のための法改正」が気になるところだが、この辺もおいおい耳に入ってくるだろう。