渡辺みちたか(自民党・新宿区議会議員)official blog

新宿のミッチー。新宿区議会議員(自民党)。1985年12月生まれ。「渡辺ミッチー」こと渡辺美智雄・元副総理の孫。慶応義塾高等学校・慶応義塾大学・同大学院卒業。中小企業勤務、国会議員秘書を経て新宿区議会議員(2期)。会派は自民党区議団。

ふれあい入浴と中町地域交流館の視察

 先月の話になるが、福祉健康委員会の管内視察で中町地域交流館に伺った。新宿区議会では、それぞれの委員会で月一回、新宿区内の行政施設等を視察し、施設の現場職員との意見交換をする機会があるが、今回の視察は私が希望した施設であった。

銭湯の閉業と地域交流館のお風呂の時間延長措置

 区には高齢者の健康増進や、介護予防、生きがいづくりなどの拠点として、地域交流館という高齢者施設がある。施設にはお風呂や、マッサージ器、交流のためのスペースなどがある。地域交流館は利用者を65歳以上に制限しており、話はきくものの私が直接利用する機会がなく、たまに地域のイベントの会場として使われる落合地区の地域交流館にお邪魔する程度だった。

 さて、この数年、区内の銭湯が閉業することがあり、そうした銭湯に通っていた人たちから、近場に銭湯がなくなって困っている、何とかしてくれという声が上がっている。区で銭湯を経営するわけもいかないから、代替というか、対応措置として閉業した地区の地域交流館にあるお風呂の営業時間を延長する、という対策が数か所で行われている。それで、地域交流館のお風呂なるものが、いったいどういうものなのか見てみたかったのだ。

 先日の区議会でも銭湯に関連する陳情の審査が行われた。陳情は北新宿地区の銭湯が12月に閉業し、住民から隣接地である東中野地域(中野区)の銭湯で、新宿区のふれあい入浴券(高齢者らが利用できる銭湯の無料券。月4回)を利用可能にしてほしい、というものだった。この話は先例のない話ではない。過去に西新宿地域で銭湯が全くなくなった際、隣接する渋谷区の銭湯で、新宿区のふれあい入浴券の利用を可能にした事例(追加料金はかかる)がある。こうした事例をもとに、昨年から北新宿で活動する池田大介区議が地元・役所・銭湯の団体と話を聞き、実現に向けてずいぶんと調整をしていた。結果は西新宿と事情が異なるということで、ふれあい入浴券の越境利用は認められず、とはいえ役所としてゼロ回答という訳もいかず、地域交流館のお風呂の時間延長をする、という決着がなされた。そうした調整・決定の後に議会へ出てきた陳情だったので、我々としては不採択の意見を述べ、結果として審議未了となった。

地域交流館のお風呂は銭湯の代替にはならない

 視察した中町地域交流館は牛込地域にあり、古い建物ながら、とても掃除の行き届いた清潔な施設だった。お風呂は4,5人で目いっぱいという感じで、1つだけなので曜日ごとに男女を分けて運用をしていた。他の地域交流館でもハード面ではそんなに大差ないだろうと思う。視察をした率直な感想としては、地域交流館のお風呂は閉館する銭湯の代替に耐えるような規模では全くない、ということだ。だから現実として銭湯の閉業の対応として、交流館のお風呂の時間延長をしたとしても、多くの方はほかの銭湯まで行っているのだと思う。

 また、ふれあい入浴券は高齢者の健康増進・交流促進がタテマエになっているが、本質的には銭湯業界に対する支援策で、産業政策であることもコトをややこしくしている。区内銭湯への産業政策であるならば、行政施設のお風呂で代替対応するのは筋違いな話だ。逆に、区内の銭湯を守るため区外の銭湯でふれあい入浴券の利用ができないのは理解できる。だとするなら、中野、渋谷など近隣区と提携をして相互利用できるようにするのはどうなのでろうか。それなら行って来いで大体同じになるのではないだろうか。

 また23区各自治体で銭湯の無料利用サービスを行政が行っているが、利用者や対象日数がそれぞれ異なる。新宿区では60歳以上、障がい者、低所得の子育て家庭に月4回のふれあい入浴事業を行っているが、対象や日数を今一度見直す余地はないのか。そうした問題提起をもらう視察であった。引き続き、役所や業界団体とも意見交換をしていきたい。

 

(参考)東京都浴場組合HP(行政との連携事業)
→同じ23区の銭湯無料サービスでも、各区で内容がかなり違う。子どもと一緒に月2回無料とかもある。