区議会の臨時会が開かれ、31億円余の補正予算案を全会一致で可決した。内容は一人4万円の定額減税関連と、税金が少なく減税額に満たない人への給付金(27億円)、災害用携帯トイレの全世帯配布(4億円)。
定額減税と給付金の違い
定額減税は1人4万円(所得税3万円、住民税1万円)で扶養家族人数分も減税となる。なお、所得1805万円以上は対象外だ。源泉徴収されている給与所得者は6月の給料から反映され、6月の給料の源泉徴収額が減税額に満たさずに引ききれない場合、翌月以降の給料に繰り越される。年金の特別徴収で納税している方は10月分から行われる。減税額に満たない所得の方には同水準となるよう給付金を支給する。
今回の実施では24億円の給付金を実行するのに、事務業務委託や振込手数料などで2億円超の事務コストが発生する。一方で、減税は区税13億円が減るが、事務は補正予算計上するほどのコストがかからなかった。税金としてお金を集めて、給付金として配りなおすのは大きなコストが発生するが、減税でそもそも集めることをやめるとコスト(中間ロス)が抑えられる。これは減税政策のいいところだ。
ただ、今回は6月の当初課税で減税が行われたので事務負担が抑えられたようで、もし、期の途中で行われた場合は、一度やったことを途中で変更することになり、かなり負担度合いが変わるという。
また、給与所得者の減税は源泉徴収をして所得税を支払う事業者側の負担も大きい。このあたりは給付金にはない点だ。
トイレ配布は「自助」啓発のため
災害用トイレの配布は、能登半島地震で地盤が隆起し、トイレが使用不能になった事態を受けて行う。都では大地震で3%ほどの下水道が被害を受けるとの想定をしている。直接インフラへのダメージがなくとも、マンション内や家の菅への被害でトイレが使えなくなる事態もありうる。そうした時に携帯トイレが必要になるが、今回の施策は「地震に備えて配布する」のではなく、区民に「トイレも準備しましょう」という啓発のために配布する。なので1世帯に付き4個。
たった4個配るだけで4億円もの費用が掛かるのは、改めてみんなに何かを配る政策はカネがかかるんだなと感じた。これまで区では、一般家庭への災害備蓄品を準備する支援は行っていないので、災害用の携帯トイレを「備蓄のため」に配布したら、当然「全然足りない!」、「水は?」、「食料は?」となり、キリがなくなるので「啓発用」としたのは仕方がないことだろう。これを機に、1週間は行政からの支援がなくとも生き残れるような準備をしてほしい。
区では3月に地域防災計画を修正して「自助」の色を強くした。今回の審議で、この自助(個人が災害への準備すること)に対して区は支援していくのか、あるいは支援はせず、自助を啓発していくのかを確認したところ、現時点で区では防災備蓄への支援は行わず、啓発に努めると答えた。
今回の携帯トイレは4億円という費用をかけて行う。携帯トイレを23万世帯へ配布して4億円と考えればまあそんなものかと思うが、災害への意識啓発のための事業で4億円というのはかなり大きい。なので、携帯トイレを4個配って終わりではなく、しっかり自助への意識を高められる内容として実施してほしい。