渡辺みちたか(自民党・新宿区議会議員)official blog

新宿のミッチー。新宿区議会議員(自民党)。1985年12月生まれ。「渡辺ミッチー」こと渡辺美智雄・元副総理の孫。慶応義塾高等学校・慶応義塾大学・同大学院卒業。中小企業勤務、国会議員秘書を経て新宿区議会議員(2期)。会派は自民党区議団。

新宿区立保養所等3施設の視察(ヴィレッジ女神湖、グリーンヒル八ヶ岳、つつじ荘)

 新宿区外にある区立の保養施設を視察をした。長野県立科町のヴィレッジ女神湖、山梨県北杜市グリーンヒル八ヶ岳 、箱根中強羅にあるつつじ荘の3つだ。視察をしないとわからないことや、現場で運営している民間企業の声も聞けて大変有意義だった。例えば書類だけみれば、建物の屋上にスペースがあるのならCO2を減らすために太陽光パネルおけばいいじゃないと思うが、実際現地に行き、屋上ですがすがしい風を感じながら山々を望み、夏はビアガーデンにも使えます、夜は星がキレイですなんて話を聞くと、この屋上も保養コンテンツの一部なんだなと感じたりもした。以下3つの施設について書いていく。

f:id:watanabemichitaka01:20230708001402j:image

◆ヴィレッジ女神湖(新宿区立女神湖高原学園)
 平成7年開設の教育委員会所管の施設で、区立学校の移動教室時の拠点として使用される。小学校5年生の夏休み、中学校1年生が5月おこなう移動教室のほか、スキー学校などでも利用される。標高1500メートルに位置し、山々や白樺、笹に囲まれている。新宿区内にはない自然豊かな環境で、小中学生が移動教室で得難い刺激と経験を得られる。また一般区民も利用でき、児童生徒が使う棟とは別の棟がある。
 年間の経費は1億1千万円余(令和3年度)。そのほか、借地なので380万円の借地料、780万円の協力金を立科町に支払っている。また令和3年度は5400万円かけてやや大きい修繕も行った 。区民は一人当たり3400円~5700円で泊まれる。

グリーンヒル八ヶ岳(新宿区立区民健康村)
 きれいで作りが豪華なレクリエーション施設。広大な敷地の中にログハウス、野球場・サッカーコート、ゲートボール場、プール、体育館、テニスコートなど、一通りのスポーツができる。こちらも平成7年に開設した。
 建物が豪華にできているので、どのくらいのカネがかかったのだろうと過去の決算書を調べてみたところ、平成3年に用地買収で33億円、設計建設関連では平成4年度に6億6千万円、平成5年度に17億6千万円、平成6年度に63億円と計120億円超かかっている*1 。保養やレクリエーションのためのハコモノに多額の経費をかける時代は終わったので、同規模の施設は未来永劫作れないだろう。なお年間の経費は2億7千万円(令和3年度)。区民は一人当たり6500円~10500円で泊まれる(2食付き)。

f:id:watanabemichitaka01:20230708001239j:image

◆つつじ荘(新宿区立中強羅区民保養所)
 前述の2つは学校行事・教育関連、文化活動・健康に関連する施設でもあるが、こちらは温泉に入りゆっくり過ごすことを目的とした純粋な保養施設だ。昭和50年開設でさすがに建物は古いが、客室や大浴場など中はきれい。新宿からのアクセスや箱根の町も楽しめるロケーションで、稼働率は90%近くあり人気がある。年間の経費は2億1千万円ほどで令和三年度には別途修繕に1億2千万円かけている。 区民は一人当たり5000円~8700円で泊まれる(2食付き) 。
 人気で利用者も多いが築48年目で壁にクラックもあり、今後10 年、20年と長期間使用できるかはわからない。

f:id:watanabemichitaka01:20230708001336j:image

 

◆今後について

 以上の3施設は指定管理制度を用いて運営している(つまり民間企業が運営している)。いずれも建物自体は古く30年~50年を迎えるが、計画的な修繕と掃除が行き届いており中は綺麗だ。近年物価高が続いているが利用料金は据え置きで(指定管理料は増額しているが)、 サービスの質を落とすことなく、指定管理者が苦労しながら努力して運営している。なお、この保養3施設は施設の長期方針を示した区公共施設等総合管理計画では「将来的に区有施設は廃止」、「大規模な改修や建替えの時期に合わせ、民間に移行」を明記している。女神湖ヴィレッジとグリーンヒル八ヶ岳は開設28年目でぼちぼち大規模改修が必要な時期を迎え、つつじ荘は前述の通り築48年になる。一方で区民からの評判と需要は高く、グリーンヒルとつつじ荘は繁忙期は抽選(しかもなかなか当たらない)になるほどの人気がある。とはいえ、旅行を当たり前にできる時代に、年間何億円もかけて保養所サービスを行政として提供し続けることは疑問がある。方針も決まっており、将来的にどこかのタイミングで強い決断が必要になるので、区は区民には十分ご理解いただき、時期が来たら軟着陸できるようしてもらいたい((決算書を見ていて気付いたメモ 。平成6年に箱根早雲山保養所が開設、立山にも保養所があった。また平成5年に落合第一出張所の用地を28億円で買収している) )。

*1:なお、この金額は本会計の決算の数字なので、基金からの支出(があれば)は拾えていない。