渡辺みちたか(自民党・新宿区議会議員)official blog

新宿のミッチー。新宿区議会議員(自民党)。1985年12月生まれ。「渡辺ミッチー」こと渡辺美智雄・元副総理の孫。慶応義塾高等学校・慶応義塾大学・同大学院卒業。中小企業勤務、国会議員秘書を経て新宿区議会議員(2期)。会派は自民党区議団。

給食費無償化について その2

 新宿区が来年度からの学校給食費の無償化を発表した。公立だけでなく、私立都立等の通学者への給食費も給付する。給食費の無償化政策が各区で発表されているが、ことの発端になったのは昨年11月の葛飾区長選挙だ。この時はただの都内のいち首長選挙の公約にすぎなかったが、わずか1年で大きな波になり、いまや国も検討を進めている政策になった。

 新宿区での議論の始まりは、昨年11月の区長選だ。野党系の候補者だったよだかれんさんが同時期にあった葛飾区長選の候補者の公約をみて(?)、給食費無償化を公約として掲げた。一方の現職の吉住健一陣営では、子育て支援政策として小中学校入学時のお祝い金を公約とした。お祝い金政策が優れている点としては、給食費無償化は恒久事業としては金がかかりすぎる、新宿の住民は私立都立等の進学者が小学校で1割、中学校で4割ほどいて、公立だけ無償化はフェアじゃない、お祝い金はフェアな上に、給食費無償化は8億円かかるところ、4億円で実施できる、これなら財源捻出もなんとかできそうだ。結果は吉住健一が再選し、お祝い金政策が実施された。

 ところが今回の発表により、給食費は無償化になり、さらに私立に通う家庭までその分の費用が支給されることになった。現時点で給食関係で12億円の費用がかかっているが、新政策によりプラス11億円が必要になり、合計23億円の事業だ。

 近隣自治体がほとんど給食費無償化を決定したので、新宿だけがやらないわけにはいかない、というのはわかる。だからやらざるを得ない。しかし、いままでの言い分である財源論はどこにいってしまったのか、8億円の恒久事業はキツいということで4億円のお祝い金になったのではないのか。また教育予算150億円のうち、毎年23億円をかけて給食費を無償化するのは教育行政の需要としてはどうなのか、もっと教育として必要な所に使うべきだ、という意見も聞き、なかなかスッキリしない部分がある。

(参考)今年7月の記事
学校給食費無償化に関するメモ - 渡辺みちたか(自民党・新宿区議会議員)official blog

除染土を汚染土と呼ばわる人たち

 先日、環境省からレク(=説明)を受けた。区内にある新宿御苑に除染した土を福島県から運んできて花壇にする実証実験についてだ。この事業は少し話を聞けばまったく安全で、ビビる必要は1ミリもない。しかし、賛否はもはや党派性をもった戦いになってしまっていて、「汚染土を新宿区に持ってくるな!」、「危険性が~~」、「放射能が~~」とたった6立米のわずかな土を、左派の大きな煽りネタに使われてしまっている。

 そもそも除染した土とは、原発事故時に放射性物質が広範囲に飛散し、いうなればホコリのように薄く広く積もり、このホコリを地面の表層数センチの土ごと削り取って(=除染して)集めたものだ。福島以外では岩手、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉の7県計57市町村でこうした土がある。

 福島県内の除染土はいま、福島第一原発近くの土地に集めて「中間貯蔵」しているが、最終的には法律で福島県外に運び出すことが決まっている*1。この中間貯蔵のための土地の面積は16㎢で、新宿区が18.2㎢なのでさほど変わらない。そりゃ福島県全域の土を数センチ削り取って、集めたら膨大な量になるだろう。そこでは今、見渡す限りの土地が、すべて土の保管に使われている。そして、この新宿区と同じくらいの土地には、もともとは住んでいる人達がいて、いまも帰れず故郷を思っている。だからこの膨大な量の土を、安全性が確認できた段階で、道路などに活用できる方法で全国で使おう、故郷を奪われてしまった人たちをみんなで分担して助け合おう、というのが法律の趣旨だ。固めているものを散らして解決するという意味では、安全性が確認できた処理水を海に放出して薄めよう、と変わらない。

 さて、そんな背景のある除染土だが、先日のレクで、中間貯蔵施設に除染土を運び込む過程で、土の中から木の根っこや、ゴミなどを取り除く作業があることを知った。そしていまなお福島県内には帰宅困難区域があり、この区域内では除染が終了していないことから、この作業は今後も続くという。新宿ではたった6立米の土を持ってくることを危険だと煽る人がいるが、ここでは見渡す限り16㎢の除染土に囲まれて作業を行っている。

 世の中には除染した土を「汚染土」と呼ぶ人がいて、残念ながら新宿区議会内にもいる。私はいままでこの言葉をスルーしていたが、冷静になって、今なお除染に携わる人がいることを考えれば、この方々を貶め、差別につながる発言ではないかと思う。

 今夏、国連のビジネスと人権作業部会が調査のため訪日し、調査終了後に声明を発表した。そのなかで福島原発での作業員の方の労務・人権問題にも触れている。こうした指摘もある中で、本来、人権に関心の高いはずの左派の議員が、軽々に「汚染土」とレッテルをはって人権を侵害していいのだろうか。今後は「汚染土」という言葉については厳しい態度で臨みたい。

 

(参考)国連ビジネスと人権作業部会 調査終了ステートメント
https://www.ohchr.org/sites/default/files/documents/issues/development/wg/statement/20230804-eom-japan-wg-development-japanese.pdf

*1:なお、福島県以外の県では中間貯蔵施設がなく、最終処分も決まっていないために、約3万か所に分散して保管されている。というと格好がつくが、実際はシートにくるまれて置いてあるという方が近い。

ホストクラブ売掛規制に関する整理

 SNSではホストクラブでの売掛(ツケ払い)禁止を条例制定すべきだと盛り上がっている。今回は悪質ホストクラブの問題解決にむけて2つの重要な点を書く。

1.営業は歌舞伎町に来る前から始まっている

 「ホストにハマる」と聞くと、「いや、そもそもホスト行くなよ」というツッコミをしたくなる。そう、普通のイメージは、歌舞伎町で飲んで、ほろ酔いになった時、ホストの初回の声掛けに誘われて、「え、1000円でいいの?」となって行く感じのシーンを想像する。だけど、ホストの営業活動はもっと前から始まっている。
 いまのホストはSNSを積極的にやっていて、Tiktokやショート動画、インスタで発信をしている。そこでいいねを押したりコメントを書いたりすると、ホストからDMが届いて、やり取りが始まる。そしてある程度仲良くなってから店に誘われるのだ。もちろん従来のように、歌舞伎町でキャッチに声掛けられてとか、ホスト通いしている友達に誘われてという人も多いが、こんなリアルでの誘いも、事前にSNSの動画や投稿をみて、なんとなくホストへの好印象があるので、店に行くハードルがぐっと下がっている。若い世代の女の子にとってホストはSNSを通じて一昔前よりもずっと身近な存在となっていて、歌舞伎町に行かなくともホストクラブへの間口が開いている*1。この点が、歌舞伎町で客引きをしているただのぼったくり店とは違うところで、対策するときに考慮する必要がある。

2.ハマった本人は(困っているが)困っていない

 なんのことか分からないと思うが、ホストにハマって、カケのために風俗に沈められて、本人はさぞ困っているのだろう、と思いきや、本人はそう思っていないケースがある。むしろ風俗で稼いだ金でもって、なお担当ホストに通い続けるというのがままあるケースで、それを心配したり、困ったりするのは本人ではなく、家族や周囲なのだ。
 たとえばこんな感じだ。娘のホスト通いと借金に父母が気づき、すったもんだの末に支援団体に相談する。じゃあ本人と担当ホストを呼んで話し合いましょう、となる。娘、担当ホスト、父母、弁護士、支援団体が同席で話し合いをする。ところがその場で、娘は顔を伏せ、ホストと手をつなぎ合って、窮状を訴えるどころか「大丈夫、大丈夫」と隣の担当ホストを励ます、という状態だ。本人は未だ恋愛の真っ最中で、担当から捨てられるのを何よりも恐れている。たとえその場で借金のカタがついたとしても、また通い始めるのは目に見えている。
 つまり、ホス狂の人の心は、宗教、ギャンブル、アルコール依存等の問題に似ている。「お前騙されているって!」、「お金とられるだけなんだから!」と心配するのは近しい周囲の人で、一方の本人は「うるさい! ほっておいて!」、「私が稼いだ金を、私が使って何が悪い!」と幸せをつかむために、強い意志をもって走っている。でも行きつく先は地獄だ。カネで作り上げた恋愛を続けるのはツライ道のりだが、逆に考えれば、その恋愛に必要なのはカネだけで、カネさえあれば続くラクな恋愛でもある。こういう状況で、本人の意思に反する方向で解決させるのはかなり難しい。

◆解決策はあるのか

 2つの点を挙げたが、ほかにもホストとホストクラブの契約関係など、解決策を考える段階で、ややこしくさせる点もある。しかし、もっとも大きな課題、考えなければならない問題はこの2つだ。
 一番いい解決策は、業界が自主規制することだ。これだけ問題が大きくなってますよ、そのうちめちゃくちゃ厳しい規制が入りますよ、その前に業界でまとまって解決してください、という話だが、歌舞伎町だけでホストクラブの系統?派閥?が複数あるようで、早急な意思統一は難しそうだ。ホストクラブの中には売掛での営業をしない良心的なグループもあるが、ホストの多くはカネを稼ぎたいと思ってホストになっており、稼ぎやすいホストクラブを求めている。そういう逆境を押しのけるにはやはり世論の高まりは重要で、世論を受けて、警察も直接お金のトラブルには介入できないものの、風俗に送ったホストを管理売春だなんだで摘発するようになり、悪質な営業の歯止めになる。こういうことを積み上げて業界にプレッシャーをかけてほしい。
 SNSで話題の「売掛禁止」については、すくなくとも区の条例ではできない*2。法律での規制も、業種の特定や、どこまでが売掛なのか、を考えると難しそうだ。ただ、消費者問題としてとらえて、宗教の献金トラブル同様、洗脳状態での金銭のやり取りをチャラにする、返金させることはできるかもしれない。
 結局今の法律で区としてできることは、悪質ホストがいるから気を付けてね、と啓発をすること、協力的なホストクラブに自主規制をお願いすること、警察と連携して(売春などに繋がる)悪質なケースについて取り締まりを強化すること、困っている人を支援団体につなげること、といったことだろうと思う。こう挙げるとショボい解決策だが、なかなかこれ以上は難しいのが現実だ。

 最後に、大久保公園周辺の立ちんぼについて衝撃的だった話を書いておく。今年1~9月に売春をしている70人を警察は摘発した。そのうちの約半数は遊興費やホスト通いのためだった。さて、売春自体は違法だが、罰則はなく、むしろ保護・更生の対象なので、警察は説教とともに「困っていたら行政に繋ぎますよ」と提案をする。では70人のうち、何人が行政に相談したかというと、たったの4人だった。残りの66人はどうなったんだろうと考える。反省して体を売ることをやめた人もいるかもしれない。でも多くはそうではないだろう。場所と手段を変えて、体を売り続け、ホストに貢ぎ続けるんじゃないかな。彼女たちが万策尽きて、首が回らなくなって、夢から覚めた時どんな風に思うんだろう。結局最後は本人が気づかないと直らない。だから沼らないように事前に情報を提供することや、自分が困っていることに気づいたとき、相談できる人や、機関があって、それに加えて行政がサポートできる体制ができればいいなと思う。

 (これ男のケースは悲惨で「バカだなあ」で終わりなんだよね。ホステスや風俗嬢の色恋営業にやられて惚れ込んで、会社潰したり借金まみれになった男、税金で助ける気はみんなおきないし、飲み代やプレゼントは洗脳状態だったとして返金させるのも同情論はでてこない)

*1:ちなみにホストクラブのHPの所属ホスト紹介ページにはだいたい個人のLINEのリンクがある(キャバクラにはない)

*2:法律の範囲内で制定できる条例という手段では、法律で許されている決済手段を禁止することはできない。「ホストクラブは身の丈にあった営業をしましょう」という理念条例ならできるが、なんの意味もない。

視察:明石市 あかし健康プラン21・あかし健康ソムリエ会、神戸市 認知症神戸モデル(診断助成・事故救済制度)

 福祉健康委員会の視察で明石市と神戸市を訪問した。明石市では健康計画のあかし健康プラン21と、健康ボランティア団体のあかし健康ソムリエ会の取組を、神戸市では認知症の診断助成事業と事故時の救済制度の話を伺った。

明石市 あかし健康プラン21・あかし健康ソムリエ会

 明石市に健康プラン21があるのと同様に、新宿区にも新宿区健康づくり行動計画がある。ちょうど今年は新たな計画の策定の年で、現在策定の最終段階のパブコメを受け付けている。両健康計画をじっくり見比べて臨んだが、結構地域差があるものだと思った。もっとも大きな違いは目標の指標が明石市の方が目標に直結する指標に定めているところだ。新宿の指標はすこし遠い。例えば、健康のために野菜を食べましょうという目標が新宿にも明石にもあるが、明石の指標は「一日に350gの野菜を食べた人の割合」なのに対して、新宿は「一日に必要な野菜の摂取量の認知度」と、実際に食べた人ではなくて、食べる量を知っている人が設定されている。高齢者の歯の話でも、明石は「80歳で20本の歯がある人」に対し新宿は「かかりつけ歯科医のいる人」とこんな感じだ。ほかにも新宿では、リーフレットの配布枚数、関連する健康団体の数、セミナーや会の実施回数などが指標になっており、もっと目標に近い指標を設けることも可能だと感じた。視察でもしない限り他自治体の健康計画をここまでじっくり読み込まないので、いい機会だった。一方で、明石のように目標に直結する指標はいいが、指標の進捗を毎年得るのが難しく、明石市では数年に一度アンケートを取って進捗情報を得ているということで、目標数値に向かって細かな修正が効きづらいデメリットもある。

 また地域差という事で驚いたのがアルコールの話で、「生活習慣病リスクを高める飲酒をしている人の割合」が新宿区では男性15.6%、女性17.6%に対して、明石市では男性16.8%で、女性がなんと2.1%と信じがたい数字差になっている。明石の女性はお酒飲まないのか、あるいはお酒を飲むことを他言できないのか、はたまたデータの基準値が違うのか。

 視察のもう一点のボランティア団体のあかし健康ソムリエ会の取組。健康づくりの活動を、(新宿も含め)多くの自治体では行政が直接、住民への啓発や健康イベントを実施しているが、明石市では同会がボランティア的に健康活動、住民への啓発活動を行っており、大変おもしろい取組だった。新宿でもできればいいが、こういう話になると必ず「いち特定団体だけ補助を付けたり、交通費を支給するのは~~」という議論が起こるので、理解や文化の差だろうか。

 明石市側から丁寧な説明が続いて質疑応答の時間がなかったので質問点・疑問点はメールで行うことになった。質疑応答がないと消化不良感がある。また質疑応答も、文書で行うと先方の手間が段違いにかかると思うので、事務方は段取りをしっかりやってほしい。

◆神戸市 認知症神戸モデル(診断助成制度・事故救済制度)

 神戸市では、65歳以上を対象に認知症の診断を助成(1段階目は無料、2段階目の精密検査は補助)し、認知症と診断された方には賠償保険料等を市が負担し、さらに認知症の人が起こした事故に関して、被害者に給付金を支払う事故救済制度を実施している。その2つの制度の財源として市民税均等割りを1人あたり400円徴収している。さすが政令市というか、本来国がやるべきことを基礎自治体がやっている事業で、政令市のプライドを感じる。

 認知症の事故救済は重要な問題だ。例えば、認知症の人が他人を傷つけた、または物を壊したとする。このときに認知症の人に責任なしとされれば、被害者はやられ損になる。逆に認知症の人に責任があるとなった場合は、賠償となって、認知症の家族に経済的な負担がかかる*1。こうした時に、賠償保険に入っていれば、責任があった場合は、保険給付で賄われる。神戸市ではこの賠償保険の保険料を助成し、事故時の責任がなかった場合でも、被害者に見舞金を支払うことで救済を行っている。新宿区でも高齢化が進んでおり、認知症も今後増えていくことが見込まれているのでとても参考になった。ただ、基礎自治体というより国の政策だろうと思う。現に神戸市も毎年政府に要望しているとのことだ。

 公費による議員の視察は常に批判があるが、そもそもの目的である住民の代表者が他自治体の取組を知って見聞を広げることは悪いことではなく、区政に活かして区民に還元していきたい。

*1:平成19年の愛知県大府市認知症の男性が電車にはねられた際、JRが振替輸送代を賠償請求した裁判。H28に最高裁判決で家族に賠償責任はないとした

高齢者偏重政治ファクトチェック

 日本の政治では「高齢者偏重政治」、「シルバーデモクラシー」と言われて久しい。しかし、新宿区では本当に高齢者偏重で政治が行われているのだろうか。むしろこの10年は少子化対策がテーマで、むしろ現役世代が恩恵を受ける政策が充実したように思うのだが、どうだろうか。そんな思いでファクトチェックをする。

 上記表*1を見てみよう。この10年間で、高齢者福祉費は63億円から75億円に19%増加した。それに対して子ども家庭費は200億円から320億円で60%の増加、教育費は43%の増で、歳出全体の増加分(34%)をはるかに上回る伸び率で歳出が増えている。上記の表には参考として高齢者がサービス受給者である介護特別会計後期高齢者医療特別会計も入れたが、結果はさほど変わらない。つまりこの10年は高齢者向けではなく、子どもを持つ現役世代向けの政策の充実が行われたことがわかる。なお、この10年で区内の子どもの人口は2万5千人から2万9千人(13.8%増)に、高齢者は6万人から6万3千人(4.8%増)に増え、子どもが増えたが、その増分を加味したとしても子ども政策に手厚かったことがわかる。

 一方で、「現役世代向けの政策」の難しさはある。以上の話はあくまで「子ども向け」政策であり、現役世代であっても子どものいない世帯は恩恵を受けない。では、子どものいない現役世代むけの政策とはいったいどんなものがあるだろうか。
 現役世代の特徴は、働いていて、収入のある人が多数で、(子どもや年老いた親がいない場合)あまり行政に世話になるシーンが思い浮かばない。もちろん働いていない人もいるだろうが、その場合はすでに行政のサービスを受けているだろう。働いていたとしても病気をすれば病院に行くだろうし(そして健康保険を利用する)、失業すれば失業保険や家賃補助の対象となる可能性があり、そうした時は行政を頼りにするが、すでに紹介した通りのサービスがある。つまり行政が「公助」の役割を担う機関である限り、困るシーンの少ない(子どもを持たない)現役世代への政策というのは必然的に少なくなる。なお、こうした分野でも、氷河期世代の就職支援など政策が実施されつつある。サービスを受けられないのだから、徴収量を減らせ、という方向になり、減税や社会保険料の減額が目指す政策となる。

 しかし、この主張には大きな穴がある。この減税政策が晴れて実現し、徴収量を減らし、歳出部分のサービスを縮小したとする。子なし・親が元気な現役世帯はもともとサービスを受けていないから、もちろんハッピーだ。しかし、結婚し、子どもが生まれたら、または親が倒れて介護が必要になったら、はたまた自分が年老いたら、交通事故で障害を抱えたら、そうした時に行政の世話になるのではないだろうか。情けは人のためならずなのである。

 私は目先のことではなく、全体や先々のことを考えて分配を考えていきたい。もちろん歳出削減についても多大な関心を持っているのであしからず。

*1:各年度決算額で作成