先月行われた新宿区議会定例会で、区立小中学校の給食費を一部無償化した。
各自治体で給食費無償化の議論が進んでいるが、新宿区が今回出した結論は完全無償化ではなく、第二子以降の分の無償化するというものだ。無償の範囲は区立の小中学校に兄弟姉妹が同時に在籍している際に2人目以降の給食費を無料にする。ようするに「給食費は1人前しかいただきません」ということだ。補正予算額は2学期から3月末までで1億2千万円余。
議会ではこれと同時に、共産党が中心になって呼びかけた議員提出の完全無償化の条例案も審議された。これについては自民党は反対し、否決した。
給食費の無償化については、我々はそれ自体に反対しているわけではなく、財源部分が賛成への障害になっている。すべてを無償化すると年間8億3千万円余の予算が必要となるが、これを未来永劫続けていくのはなかなか難しいということで、兄弟姉妹の複数人在籍の部分を無償化、という線引きにした。完全無償化にできるのであればしたく、心苦しい。が、我々は未来に責任をもつ責任政党だからね。今回の無償化政策をおカネの話にすると、給食費8億3千万円のうち2億2千万円、約26%を区が補助する形だ。財源の話である以上、今後の財政状況や、国や都が補助を出す形になれば新宿区でもさらなる無償化を実施していきたい。
公平性の観点もある。新宿区民の小学生の約一割、中学生の約半数(!)が区立ではなく私立に通っており、区立学校の給食費無償化ではこれらの家庭への恩恵はない。給食費一部無償化に先立って昨年12月補正で決定された小中学校のお祝い金でも公平性は議論になった。このお祝い金は公立、私立は関係なく、所得制限もなく支給される。審議された当時はコロナ禍で、住民税非課税世帯への支援が目に余るくらい手厚く続いており、政策形成過程で「納税者へもリスペクトを!」とわが党が訴えて、所得制限なしで実施となった経緯がある。
今回新宿区では給食費を一部無償化を実現したが、公立の学校の話なのに自治体によって無料、有料と別れるのはいかにもチグハグだ。広域で解決できればベストな話で、国や都で法改正・条例制定を求めていきたい。