2月1日の臨時会で低所者への3~10万円の給付金を審議する。約30億円かけて行う大きな事業だ。この話は論点がさまざまあるが、わかりやすい課題点は、(住民税非課税であれば)外国人留学生も支給対象となっていることだ。
新宿区は外国人が多く、35万の人口のうち約1割が外国人で、そのうち25%ほどが留学生といわれている。単純計算すると8750人が留学生になる。こうした留学生は日本に来て勉強し、数年で本国に帰る方がほとんどで、数年で本国に帰る人たちに区民の税金を使って給付金を支給するべきなのだろうか。私はそれは筋違いだと思っている。そもそも、この給付金は物価高騰対策の事業であり、日本に来たばかりの外国人は日本での物価高騰の影響を受けていない。
また、もうひとつ問題がある。わが国の制度上、1月1日が住民税の課税基準日であり、1月1日以降に来日した外国人は、初年度は住民税非課税世帯として扱われる。非課税世帯ということで、給付金も支給される。今回の給付金は12月1日の住民情報をもとに給付するので、極端な話だが11月30日に来日した外国人でも給付が行われる。これは、留学生に限らず、(租税条約締結国の対象者を除いた)労働者でも同様に給付金の支給対象となる。つまり留学生に限らず、稼ぎのある外国人でも、
- 租税条約の要件を満たさず、
- 来日の初年度であれば、
支給の対象者になることを意味している。所得が低く、物価高騰により生活が圧迫されている人のための給付金事業であることを考えれば、これはさすがに不平等だろう。
区の給付金の事業の設計は国の実施要綱に従っておこなっている。国ベースで考えれば外国人の留学生(や労働者)などは考えなくてもいいほどの微々たるものだろうが、新宿区で考えれば、人数や、金額は結構なボリュームになる。今回の住民税非課税世帯への3万円の支給は国費ではなく、区が独自で行う政策であり、区民の税金が原資なのだから、この辺りの設計も国と相談しつつ、しっかり行ってほしい。