昨日、20日から始まる定例会で審議される政策の報告があった。その中に、住民税非課税世帯へ区の独自政策として2万円の給付する話も含まれていた。総額18億円。区独自の政策なので当然財源は区の貯金*1だ。ところが夜になって「国が住民税非課税世帯に5万円を給付することを最終調整」との報道が行われた。
この報道を見たときに「お、国がやるなら、今日報告のあった区の2万円の政策は国の財源でできるじゃん。ラッキー」と思ったのだが、どうやらそうではないらしい。これは区と国で別の政策だから、別々に行うというのが一般的な考え方だそうだ。つまり、新宿区の非課税世帯は区から一人2万円もらった後に、おかわりで国から5万円もらえることになる。
これはさすがに納税者に対して不公平だろう。これまでのロジックを整理すると以下のようになる。
- 住民税非課税世帯が物価高で困っている(課題)
- その課題に対して区が独自に2万円を払いますよ(解決策)
- 独自政策だからそのお金は区の貯金を使います(財源)
というのはよくわかる。が、昨日の夜の報道で、非課税世帯の課題は国が解決してくれることになる(しかも金額は増額)。だったら、区が貯金を取り崩して使う18億円を、非課税世帯にさらに追加でつっこむというのは明らかにおかしい。物価高で困っているのは非課税世帯だけではないのだから、18億円の使い先は非課税世帯から切り離して、恩恵を受ける範囲を広げるべきだ。
例えば、子育て世帯へ子ども1人5万円の給付であれば11億円でできる。18億を区の納税者にも配るなら一人7000円ほどになる。
べつに現金支給ではなくてもいい。新宿区内の店舗でキャッシュレス決済をしたら25%ポイント還元を9月1日から始めている(総額5億円使い切るまで)が、予算増にすれば延長できる。区内で使えるプレミアム商品券(総額5億円)も人気次第で抽選になるが、予算増額すれば希望者全員にいきわたる。これなら物価高になやむ区民の生活応援にもなるし、地元の商業支援政策にもなる。あるいは、非課税世帯への課題は国が解決したから、18億円は将来に備えて取っておきます、という選択肢だってあるはずだ。
区がやろうと頑張って考えて、ほうぼうに根回しをして、正式な手続きも経て最終段階まできました、というタイミングで国が後出しで同じ政策をぶち上げたのだから、区も「では国にお任せします」というのは決して恥ずかしいことではない。逆に区役所が自分たちの都合やメンツだけで、国とカブった政策を進めてしまうのはおかしい。区民から選出された議員としては物言いをしなければならない。議会は多数の支配の民主主義。一人で言ってても意味がないのでさっそく仲間集めから始めたい。